[ STE Relay Column : Narratives 158]
後藤 俊 「リサーチャーとして振り返る、TOM」

後藤 俊 / 早稲田大学大学院 経営管理研究科

[プロフィール] 宮城県仙台市出身。スキー場が近く、大学でスノーボードに明け暮れる。今の趣味はランニング。宮城県仙台第一高等学校を卒業後、東北大学 工学部及び東北大学大学院 環境科学研究科に進学。大学では、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー及び電気化学の研究に携わる。2008年に富士フイルム株式会社に入社。入社後、フラットパネルディスプレイの生産技術開発に携わり、その後、社内のバイオテクノロジーの分野研究開発部門に異動する。iPS細胞及びiPS細胞から作製される(分化誘導される)細胞の生産技術及び製品化を経験する。その後、薬の開発製造受託事業に関する技術の研究開発と、バイオテクノロジーを用いた新規製品の創出に携わる。2021年4月に夜間主総合に入学。

既に、TOMの授業を受講していた為、聴講での参加となります。何かの貢献になればと思い、Columnを書かせて戴きました。ご参考になればと幸いです。授業が終了して、2週間以上が経過しましたが、未だに授業の事が記憶に強く強く残っています。また、クラスのTシャツという形にも残っています。企画して戴いた皆様ありがとうございました。大切に着させて戴いています。
ベニバナのようなトラディッショナルなトピックもありましたが、基本はAI、ドローンやバイオ、等、最新の話題が山盛りの授業でした。研究職として、最前線でワークしている私にとって、馴染みのある話題が多かったのですが、既に知っている情報が古く、次々に技術はアップデートしているのだと、肌で感じる事が出来ました。

【牧先生のTOMを受ける私の解釈】
授業名に、「技術」ってついているから難しそう、「オペレーション」って何?って思っている人が、この授業を受けいていたのなら、すごく私は羨ましい。授業の中身、正直難しいかもしれないですが、クラスの雰囲気が楽しい授業に変えてくれます。失敗しても、誰も怒りません。躓きそうになったら、一緒に受けてくれる受講生が支えてくれます。そして、勉強すれば、技術に関する最新のトピックスをかなり広くカバーできます。WBSに来る皆様は、各々の得意分野があると思いますが、先に書かせて戴いた皆様は新しい軸を得る事が出来ると思います。両利きの経営で言えば、「探索」。新たな軸を得る事で、イントラパーソナル・ダイバーシティーが豊かになる。私が受けるより、得られるものは大きいと思います。だから、私は、羨ましいです。私が馴染みのない〇〇の授業は、とても辛かったですよ。ほんと。

【技術と倫理観】
牧先生が、授業のシラバスで示した授業の到達目標は、4つありました。中でも、「科学・技術を活用したビジネスにおける倫理に関して自分なりの価値基準をもてるようになる。」、これが凄く大事だと思っています。授業で学んだ通り、新しい技術をビジネスに持ち込むとは既得権益や法律、等の色々な障害とぶつかります。それを乗り越えて、大きなビジネスを実現したストーリーはとても美しく、かっこいいです。その一方で、負の面も忘れてはいけないと考えています。例えば、Uberに関連して殺人や性的暴行が報告されいます(https://wired.jp/2019/12/09/criminologist-uber-crime-report-highly-alarming/)。Uberは場を提供しているだけだから、関係ない?大きなビジネスの為に犠牲はつきもの?でも、自分の家族が同じような目にあったら同じ事が言えるのか?ケースを通じ、色々な事を考えさせられました。(Uberを否定しているわけでは、ありません。彼らの功績は大きいです)。もちろん、全てをノーリスクで実現する事はとても難しい事です。でも、新しい技術を取り入れる時に、ベネフィットの大きさとリスクの大きさと、正直に向き合い、正解のない倫理観を自分自身に問い続ける事はとても大切だと、いち研究者として感じています。これから世界のビジネスをリードするWBSの皆様には、1番、伝えたかった事です。

【深く考える】
最近、よく思うのは、仕事でもWBSでも情報を浴びるように受け取る日々が続く中、「深く」物事を考える時間がものすごく減ったと感じています。私が「深さ」と言っているのは、得た情報を表面のみで捉えるのではなく、色々な視点で考えたり、その背景を理解したり、抽象化して考えたりする事、と定義させて下さい。私は、この「深く考えられること」が新しい知と知の融合(イノベーション)を生み出す1つの能力だと思っています。
牧先生のTOMの情報の補足を含めるとインプットは他の授業の比ではありません。やはり、授業では、もらった情報を飲み込むことで精一杯でした。その私が、一段「深く」授業を理解する事が出来たのは、チームUchida(メンバー;杉原さん、滝本さん、堀内さん;名前順)のお蔭でした。チームで行ったTOMの全振り返りは、チームメンバーお互いの気付きが共有され、私の考えが及ばなかった気付きを、沢山得る事が出来ました。おかげで考えが深まり、頭に強く記録されました。振り返りの時間を含め、長い時間お付き合い戴いた、チームメンバーにはとても感謝しております。ありがとうございました。

授業に参加した受講生の皆様には、とても刺激を受けました。ありがとうございます。これからも、宜しくお願い致します。
最後に、すごく大変、でも、とても楽しく授業を運営して戴いた牧先生及びTAの皆様にはとても感謝しております。ありがとうございます。

私の授業のネームボードはずっと、こどもたち(7歳、3歳)に絵を描いてもらっていました。「こどもたちは、とてもクリエイティブ」と、いつも感心していました。


次回の更新は1月21日(金)に行います。