[ STE Relay Column 038]
牧田 洋大「Venture Capital Formationを受講して」

牧田 洋大 早稲田大学経営管理研究科修了 / 株式会社 電通デジタル 

[プロフィール]2006年、新卒で自動車メーカーに就職。約6年間、事業部内数値管理や需要予測等の企画管理業務に従事。その後、約4年間人材会社にて人材コンサル営業及び経営企画部を経験し、現在は株式会社電通デジタルで事業企画業務に従事。
2019年3月 早稲田大学経営管理研究科を卒業。2年間平野正雄ゼミに所属し、グローバル経営および問題解決手法を学ぶ。

1.受講理由

・牧先生の授業だから面白そう
私と牧さんの出会いは、以前住んでいた街が同じで、とあるカフェで大学院の宿題におわれていると、突然牧さんから、「今、カフェにいましたか?見かけたんですけど」というメッセンジャーが飛んできたことがきっかけです(笑)。その日急遽、実は二人とも行きつけだった銭湯に行き、近くの居酒屋で飲むことに。
当時受講していた授業にちゃんとキャッチアップできているか?論文はどういうことをやっているのか、何でも質問してください!などなど。ゼミ生でもないのに、こんなに親切に、かつコミットしていただける先生に大変感銘を受けました。
春に聴講させていただいた「科学技術とアントレプレナーシップ」でも、論文の主張に対し自分の意見を持つことを学び、大変だけど考える面白さを教えていただきました。今回の授業も牧さんの授業だったら絶対に面白い、そう思って受講することにしました。

・豪華な講師陣
この授業は、Kauffman Fellows ProgramのCEOを長年勤められたProf. Phil Wickhamによる授業です。スタンフォードでも開催されているシリコンバレーのベンチャーキャピタル養成プログラムを、WBSのために牧さんがオーガナイズしていただいた大変豪華な授業です。
授業の冒頭に、Philが「牧さんが早稲田にいるから早稲田での開催になった。慶應だったら慶應での開催だった」と仰っていました。牧さんのネットワークのお陰でこのような素晴らしい授業を受講でき心から感謝致します。また、Sozo VenturesのFounder兼GPの中村さんや、松田さん(STE Relay Columnの第28回にご登場)など、最前線の実務者目線からも、普段はお伺い出来ないような貴重な知見を学ぶことが出来ます。

・イノベーションの生み出し方を知りたい
“Venture Capital Formation”、という授業名の通り、イノベーションを生み出す「資本」をどのように作り出していけば良いのか、ということを議論する授業です。イノベーションを生み出す仕組みやメカニズムについて、最先端のアカデミックな知見と、具体的な事例を融合させた形で、授業は構成されています。以前からイノベーション生み出すための仕組みをどのような形で構築していけば良いのか興味がありましたので、この機会に受講し、今後に活かしたいと思い受講しました。

2.授業のフォロー体制

授業は全て英語でコミュニケーションを取りますので、一定程度の英語力(特にヒアリング)は要求されます。私は、英語が得意ではないので苦労しましたが、中村さんや松田さんが必要に応じて解説を加えていただいたり、授業期間の途中で開催された懇親会の場でも質問をぶつけて、理解に苦しむところを補填していただきました。個別に相談しても親切にご教示いただき大変助かりました。
また、授業はチーム制となっており、講師からの問いに対して議論をして進めるので、他メンバーの解釈を聞くことで自分の理解を改めたり、補ったりすることで、実感を伴った理解へと繋がっていきました。

3.学んだこと

・ネットワークとイメージの重要性
シリコンバレーのVCネットワークは今まで以上に寡占化が進んでいるとのこと。お金がコモディティ化しているので、どんな価値を提供できて、どんなネットワークに入っているかの勝負になっている。このネットワークに入るためには、GP・LP・VBの関係をどれだけ魅力的にフォーメーションするかにかかっているということだと思います。
そのためには、既成概念にとらわれずイメージを膨らませること。考えられる色んな要素から魅力的なフォーメーションを創造していく。これは、Phil含め、中村さん、松田さん皆が仕切りに言っていました。

・自分の魅力をどう伝えるか
授業のはじめに英語で自己紹介をします。
Philからの要望は「事前アンケートで書いていないことを紹介してください」、つまりアドリブで自分の面白さを伝えろというオーダーでした。
ただ、このスキルは大変重要なことで、投資してもらうためには、自分がどれだけ魅力的で事業にパッションを持っているかを一瞬で伝える必要がある。目の肥えた投資家から注目してもらうためにはこれらの訓練が必要だということを実体験で学びました。

4.学びの活かし方

この授業で学んだ内容は、必ずしもシリコンバレーでイノベーションを起こすことであったり、VCとして何が出来るかに限ったことではないと思います。
どんな仕事をしていても、自身を取り巻く環境の中でベストな組み合わせを創造することは重要ですし、限られた時間で自分の魅力を伝えることは物事を進める上でなくてはならないスキルです。
例えば、組織の垣根を越えて会社を良くするための改善を提案したり、自分が実現したいプロジェクトを周囲に提案して社内でのエコシステムをつくるなど。
ただ、ふと、いつもの環境に戻った瞬間にこれらの事を忘れてしまい、これまで造りあげてきた自分のイメージや当たり前の中に閉じこもってしまうことが多いと思います。

貴重な学びを活かすためにも、少し勇気を持って明日から一歩踏み出したいと思います。
牧さん、改めて貴重な授業を早稲田に持ってきていただき、本当にありがとうございました。


次回の更新は4月19日(金)に行います。