[ STE Relay Column 020]
細野 隆太郎 「海外での学びとMicroMBA」

細野 隆太郎 / 株式会社細野鉄工所 

[プロフィール]1986年生、埼玉県出身。大学卒業後、総合アパレルメーカーの三陽商会に入社。エリアマネージャーを経て、マーチャンダイザーとしてセレクトショップ用オリジナル商品の企画・開発を担当。その後、家業の細野鉄工所へ入社、関連会社への出向を経て、2016年に取締役に就任、現在は経営企画を担当。2017年4月から早稲田大学経営管理研究科 夜間主プロフェッショナルコースへ入学、在学中には北京大学光華管理学院(中国)、EDHECビジネススクール(フランス)へ留学。その他にも積極的に海外科目やスタディツアーに参加、WBS在学中に5か国9都市で学ぶ。

イントロダクション
私は映画「キューポラのある街」で知られる埼玉県川口市で曽祖父の時代から受け継いだファミリービジネスで働いています。家業を事業承継することになり、2016年から経営に関わるも、経営に対する知識や経験はなく、一から学びたいという気持ちと、将来的に自社で新規事業に取り組みたいという思いからWBSに入学しました。

海外での学び
・香港、深圳
WBSに入学して、初めての海外での学びは所属する長谷川博和教授のゼミで行った香港、深圳視察でした。その中でもHAUWEIやDJIを訪問した深圳はとても刺激的で、私が持っていた中国に対するイメージを根底から崩してくれました。また彼らのヴィジョンや仕事のスタイルを学ぶうちに、中国に対する興味が一層増えるとともに、危機感を感じました。本やニュース、WBSの授業で情報収集することも大事だが、現地に実際に行かないとわからない空気感が存在することも改めて実感しました。

・スタンフォードとシリコンバレー
WBSのスタートアップファクトリーという授業の一環で、講義中に作ったビジネスモデルをスタンフォード大学で現地のVCや教授の前でピッチするという貴重な経験をしました。私のWBS生活の中でも1番時間と体力と精神を使ったグループワークでしたが、同じチームの武田信夫さん、林田丞児さん、梶伸也さん、山内真太郎さん、前澤健太郎さんと大事な発表の前には決まって早稲田駅付近のAirbnbに泊まり、夜中準備したのは良い思い出です。またGoogle、Apple、Facebookなどにも訪問し、多くの刺激を得ました。

・北京大学
私の初めての留学先はWBSの交換留学制度を活用して参加した北京大学光華管理学院でした。
はじめての留学で右も左もわからない状態で、世界中から集まったとてつもなく優秀な学生の中で毎日必死にもがいていました。クラスメートに支えられ最終プレゼンではチームで外資企業の中国への進出戦略をプレゼンしました。また視察ではなく学生として行くことによる学びの大きさを実感しました。

・EDHECビジネススクール
二度目の海外留学は南フランスのニースにあるEDHECビジネススクールでした。観光業界で世界一のフランスでレジャービジネスについて学ぶというとても貴重な経験でした。最終発表では現地の老舗香水メーカーに成長戦略を提案しました。またこの留学期間中はスコットランド人とタイ人のクラスメートと3人でルームシェアし、多くの多様性を学ぶとともに休みの度に一緒に旅行したのも良い思い出です。

WBSは多くの大学との交換留学の機会を持っており、留学先のMBAでは日本では決して味わえない経験が待っていますので、現役生の方には是非チャレンジして頂きたいと思います。

MicroMBAについて
MicroMBAに興味を持ったきっかけは、留学先の北京大学で出会った友人がオンラインMBAに通っていたことでした。その時はそんなのもあるんだと思っていましたが、留学をきっかけに本格的にオンラインで海外MBAに挑戦したいと考え始めていた矢先に、MicroMBAの情報を知り、その場であまりスケジュールも確認せずに応募したのを覚えています。

このMicroMBAは早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 科学技術とアントレプレナーシップ研究部会が主催する主に理系バックグラウンドの大学院生、学部生、ポスドク、若手サイエンティスト・エンジニア等を対象に、MBAレベルのビジネス知識を学ぶミニ・プログラムです。
このプログラムはRady School of Management, University of California San Diegoとの提携プログラムで、すべてのセッションは英語で行われました。
また全てVirBELAというシステムの仮想キャンパスの中で授業が行われました。そこでは自分でアバターを作り、仮想キャンパス内を自由に行き来でき、留学生になった気分を味わうことができました。授業はただレクチャー聞いているのでなく、教授や生徒同士での双方向でのコミュニケーションが可能であり、ダイバーシティに富んだ参加者同士で積極的な議論が繰り広げられ、多くの気づきを得ました。
授業自体は全部で6回行われ、3回はWBSを代表して池上重輔教授、樋原伸彦准教授、牧兼充准教授が講義され、残りの3回はUCSDの教授達が講義されていました。
その中でも最も印象的だった講義としてUCSDのMary McKay氏のPower & Leadershipがあります。日本ではあまり馴染みのないPowerに関する授業はとても新鮮で、彼女の「Don’t shy away from power!」という言葉がとても印象的でした。こういった日本ではなかなか受ける機会のない授業を受講できることもMicroMBAの魅力であると感じました。
また最後のフェアウェルランチではいままでアバターでしか知らなかった参加者と直に顔を合わせることができ、ネットのオフ会さながらの感じで、より交流を深めることができました。今後もMicroMBAのメンバーと交流を深めていきたいと思います。
また費用はかかりますが、卒業生や一般社会人の方も参加できるので、より多くの人に是非体験してもらいたいです。

このMicroMBAプログラムのように技術の進歩によって、学ぶことに対する場所や時間の制約がなくなりつつあり、海外からの学びができないのは言い訳でしかないような時代に突入していることを改めて実感しました。WBSでの学生生活も残り少ないですが、今後も多くのことにチャレンジし続けたいです。

 


次回の更新は12月7日(金)に行います。次回は株式会社メルカリの細井 雄大さんの「MicroMBAで学んだこと」です。