[ STE Relay Column : Narratives 215]
森 亮二「R&Dによる新規事業開発の推進者におけるど真ん中授業 L2M」

森 亮二 / 早稲田大学大学院 経営管理研究科

[プロフィール]大阪府出身。大学卒業後、2008年に松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社)に入社。
マーケティング部門に配属され、国内家電の営業、マーケティング企画、デジタルマーケティング(CRMサービスの開発)に従事。その後、本社部門の中央研究所にあたる部署に異動し、IoT住宅向けのデジタルプラットフォームを創出する新規事業開発を経験。現在は、ESG領域の新規事業開発に従事。
大企業において、新規事業開発を生み出し、スケールさせる為の方法を体系的に学びたいと考え、2022年4月にWBS(夜間主プロ)に入学。長谷川ゼミ所属。

自分にとってのど真ん中の授業
私が牧先生の授業を受講したいと考えたのは、これまで実務の中で属人的に磨いてきた新規事業開発の手法をより体系的に整理し、自分のものにしていきたいと考えたのがきっかけだ。これまで、シリコンバレーの拠点で仕事をする機会を得て、元GAFAMの社員からデザイン思考やアジャイル開発といったシリコンバレー流の仕事の進め方を仕事を通して学んできた。しかし、体系的に学んできたわけではなかったので、応用が求められる際に自らの未熟さを感じていた。より体系的に学べる授業を探すものの、ビジネススクールでこういった分野を専門にした授業はそれほど多くない。しかしアントレプレナーシップ、技術経営を専門にされている牧先生とその授業(TOM、EBM、lab to market)の存在を知り、この先生のもとで体系的に学んでみたいと考えた。牧先生曰く担当授業は、ビジネススクールではど真ん中に位置しない授業とのことだが、自分にとってはまさにど真ん中の授業と感じた。

中央研究所における商業化のヒントを探る
私は「新しいこと」を積極的に取り入れ、自分自身を成長させていくことが好きです。「新しいこと」を見聞きし感動することで、まだ見ぬ希望に満ち溢れた未来を想像することが好きです。そして、それをどうやって実現できるか考え、イキイキ行動することが自分にとってのやりがいだと感じています。
そういった背景もあり現在、企業の中央研究所にあたる部門で、先端技術の研究者と共に新規事業を開発することに挑戦しています。研究所の中では、日々多くの研究者が様々な分野の研究を進めています。しかし、どの研究者も苦労しているのが商業化に向けた壁であり、自身も日々悪戦苦闘しています。そんな状況の中で、受講に向けlab to marketのシラバスを読むと「カリフォルニア大学サンディエゴ校のビジネススクールでスタートした、科学技術を商業化する手法を学ぶためのプログラム」との記載があった。まさしく自分自身が理解を深めたいと考えていた分野であり、中央研究所における商業化プロセスのヒントを掴みたいと考え受講を決めた。
授業の中では、まず実際に商業化を目指しているいくつかの研究室の技術の中から、自身が取り組みたいと考える技術を選定する。そこからチームで検討し、最終週に商業化するサービス内容を提案することができる。私は、環境分野に興味があることもあり、早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科の小野田研究室で取り組む、「廃棄物・リサイクル現場での選別ロボット」の商業化提案に取り組んだ。この授業では、理系分野のバックグラウンドを持った人が多く履修している。その為技術的な分野の検討も、チームメンバーの深い考察の元、より実践的に進められることが魅力と感じている。チームによって進め方は異なるが、自チームにおいては、まずユーザーインタビューを通した顧客ニーズの探索から、仮説検証を行った。その後、実際に実現可能な技術を取り入れた、サービス企画を実施していった。これら一連の「技術を商業化するプロセス」を体験できるのが、この授業の大きな魅力だと感じている。また技術を実際に商業化してきた多くのゲストから、実際に研究者の開発してきた技術を事業化するにあたってどのような関わり方で進めていったかを多く聞くことができた。このことは、日頃の自身の活動とも共通する部分が多く、多くの実践的な知見を学ぶことができた。

授業の学びを今後に活かす
授業を通して、これまであまり知らなかった大学研究室を起点とした、ディープテック分野の商業化に向けた活動を知ることができた。中でもそれを支える為の、組織や機関とその中で働かれている人々の想いを知り共感できたのは大きな成果だと感じている。
この授業を通して、今後大学研究室における活動にも、企業や個人として積極的に関わっていきたいと考えるようになった。そういった新たに芽生えた想いを実行する為のネットワークが得られるのもこの授業の大きな魅力と感じている。最終発表の審査員をして頂いた、KPMGの阿部 博さんにも個別にお時間を頂き、この分野の理解をさらに深め共創を模索していけるような機会もご紹介頂くことができた。
この授業を通して、牧先生が精力を注いで取り組まれている、大学発ベンチャーを育てる為のエコシステム構築の社会的意義に大きな感銘を受けた。この授業を起点に、次世代の日本の成長を支えるベンチャー企業の創出と拡大に関わる人材が1人でも多く増えることを期待しております。またそういったコミュニティーに、少しでも貢献できる人材になれるよう今後頑張っていきたいと思います。
最後に、このような機会を頂きました、牧先生、秘書の石井さん、チームメンバーのPanさん、小舟さん、小野田先生・研究室関係者の皆様、TAのナンさん、ドンさん、東さん、メンターの皆様、ラーニングコミュニティーのクラスの皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

 


次回の更新は9月5日(火)に行います。