[ STE Relay Column : Narratives 188]
何 欣蕾「より良い世界のためのビジネス、牧ゼミのスリランカビジネスデザインプロジェクト」

何 欣蕾/早稲田大学大学院経営管理研究科

[プロフィール]カ シンライ、中国中央広播電視総台東京支局長、中国伝媒大学コミュニケーション学博士。趣味は油絵。ビジネスの世界に好奇心を持つ潜在的な女性起業家。

 私は、ビジネスを学ぶことで、ビジネスシステムの仕組みをより深く理解し、スマートなビジネスデザインプロジェクトの実行を通じて個人の生活を変え、さらには社会の機能により良い創造的な可能性をもたらすことができればと思い、WBSに入学しました。私は常々、ビジネスとは最高の「善」の形であると信じています。
 秋学期の初めには、牧ゼミを通じて、WBSの卒業生でスリランカ政府職員のRAMESH氏に出会いました。2022年、政治指導者の海外脱出、経済の後退、通貨の急落、エネルギーや食糧の高騰など、困難な状況にあるスリランカの国情に触れることができました。 RAMESH氏のプレゼンテーションを通じて、現在スリランカでビジネスプロジェクトを設計するには、現実的に多くの制約があること、しかしこのような社会状況の中でこそ、優れたビジネスプロジェクトがより現地の人々の役に立つことができることを学びました。 RAMESH氏とのオンライン対談を通じて、ゼミのメンバー全員がスリランカの商業デザインプロジェクトに取り組む意欲を持つようになりました。
牧先生は全員に付箋を渡し、小さな紙にスリランカでのビジネスアイデアを描いてもらい、RAMESH氏に資金予算、人材などの面からビジネスアイデアの実現を依頼しました。普段私は油絵を趣味としていますが、スケッチで事業アイデアを描くのは簡単ではないことに気づきました。 難しいのは、ビジネスデザインのアイデア、ビジネスの核心となる最も重要な要素をスケッチすることです。スケッチの過程で、複雑さを削ぎ落とし、核心を強調することで、アイデアや思考を明確にすることが必要です。また、このブレインストーミングの中で、ゼミのメンバーは、ビジネスプロジェクトに取り組む際に、何らかの制約があった方が、かえってクリエイティブなアイデアが生まれることを発見しました。

 ブレーンストーミングを行うことで、多くの閃きが生まれ、より柔軟に問題解決に取り組むことができるようになりました。 私たちのグループが19以上のプロジェクトのアイデアを集めた後、牧先生はそのアイデアを2つの次元(メンバーが自由に定義できる)で評価するようにと言いました。 そして、最終的にプロジェクトに費やした時間をX軸、プロジェクト遂行の難易度をY軸に選び、この次元に従って、19のアイデアをこの座標内の異なる位置に配置したのです。 このトレーニングによって、すべてのアイデアを評価し、さらに改善できるビジネスソリューションを選択する方法がより明確になりました。

 2週間のグループワークの結果、日本でのスリランカ料理フェスティバルとスリランカのヒューマン・ツーリズムのソーシャルアカウントの2つの企画書が出来上がりました。 日本でのスリランカ料理フェスティバルの提案について、牧先生から「このビジネス提案は、RAMESHさん自身が実行できるものなのか、それとも私たちが実行しなければならないものなのか」という質問があり、非常に印象に残りました。 仮に日本で企画を実行し、そこで得たお金をRAMESH氏に渡した場合、彼の努力と関与はどのように反映されるのでしょうか? 私たちは、RAMESH氏のためにビジネス・クリエイティブ・プロジェクトを提案するとき、RAMESH氏自身に十分な敬意を払わなくてはならないのです。 これは一生忘れられないレッスンになったと思います。

 秋学期の牧ゼミ・スリランカビジネスデザインプロジェクトでは、2ヶ月以上かけて、スリランカで広告収入、スリランカのPR、チャリティ募金など複数の機能を実現できる人情観光ソーシャルアカウントの運営案を最適化したものが出来上がりました。 また、スリランカB&Bプロジェクト、農産物のオンラインマーケティン (RAMESH氏)   グ、スリランカ多次元観光プロジェクトなど、他の3組の提案からも良い刺激を受けました。 ビジネスプロジェクトを通じて社会の変化や進歩を促し、人々の生活を向上させるのに、これ以上の方法はないと思っています。ビジネスデザインプロジェクトの最後に牧先生は、MBA取得者は、考えることや話すことは得意だが、実行力はあまりない、実行力を高めることが重要だとコメントしました。
スリランカビジネスプロジェクトはPRESENTATIONで終わりではなく、RAMESH氏と共により効率的に実現させたいと考えています。


次回の更新は12月9日(金)に行います。