[ STE Relay Column : Narratives 148 ]
翟 雪 「MBA第一学期の振り返り」

翟 雪 (たく・せつ)  / 早稲田大学大学院経営管理研究科

[プロフィール]中国出身、高校卒業後来日。2014年京都大学大学院高分子化学専攻終了後日本のノエビアホールディングス社に就職し、主な仕事内容は中国主要都市における化粧品の海外輸出販売管理であった。国際部に所属していたが少人数チームであった為、担当エリアの店舗開拓から販促企画や実績管理などの業務全般に携わった。その後は全く違う業界であるジョンソン&ジョンソンのASP事業部に入社(現ASPジャパン合同会社)。仕事内容は医療施設への医療機器の提案販売。日系企業と異なる風土であり、社員の皆さんは自分のキャリアについて個々の考えを持ちながら積極的実現できるよう働いている。そのような影響もあり、私も海外生まれでありながら、日本の大学教育を受けた自らのキャリアを更に活かせる方法を見つけたくWBSに入学した。

【WBSについて】
WBSのダイバーシティに共感して入学した。当初の期待どおり、様々な背景をもつ先生と学生に囲まれ、日々色んな経験や刺激を受けてる。授業は先生からの学ぶのみならず、グループワークのメンバーからも勉強になることが多々あった。社会人になってから、どうしても仕事に関わる狭い業界やその価値観に捕らわれ、視野がどんどん狭くなってしまう感覚があったので、最先端の情報に触れることができるWBSでとても刺激のある有意義の時間を過ごせている。社会人学生生活は最高だ!

【Lab to Marketについて】
シラバスの内容を見た瞬間は「これは面白い」と履修することを決めった。私は化学が好きで大学院まで進学したこともあるため、大学研究と社会に結びつける内容にはとても魅了された。科学技術からどのように新たなビジネスを創出していくのか、仮説&検討を通して科学思考法を用いて技術評価及びビジネスモデル策定に関する様々な知識や理論に触れることができた。通期課題として実際大学で行われた研究をシーズとしてグループワークも行った。
シラバスで牧先生がご親切に「各回に事前予習課題が配布される。また教材は全て英語である。各回の事前予習には、120分程度かかると想定される」と記載してあった為、正直、ついていけるのか心配したこともあった。しかし、毎回の授業内容が充実しており、時間が忘れるほど面白く、機会があれば皆さんにもお勧めしたい。ゲームのような「The Food Truck Challenge」で科学的実験のシミュレーションで仮説&検証について学んだり、世界有名な「ランガー研究所」ケースのディスカッションを通じてイノベーションを創出するためのエコシステムについて学んだりして、様々形式で豊富な内容を短時間で学べることができた。

学んだ内容の実用する場として通期課題があった。
シーズ名: マイクロニードル電極による脳波測定端子
チーム・メンバー: 平野梨伊さん(牧ゼミM2)、平野梨伊さん(牧ゼミM2)、自分
ベースにはNASAにより開発された”Quicklook/Firstlook”と呼ばれる技術評価ツールを用いて、技術シーズ評価をした。
チームはまずシーズの論文をベースに個人で勉強をした。グループで仮説を立った後はシーズを提供してくれた慶応大学三木研究室を訪問し、三木先生と担当学生にインタビューを行った。その場でプロトタイプのヘットフォン脳波測定器で実際脳波も図ってみた。
研究室から帰ってきた後は、以前考えた仮説を整理し「動物向けの応用」「ニューロテック」「ニューロマーケティング」の三つの方向に絞り、仮設の検証を行った。
具体的には以下の活動を行った。
「吉田牧場/吉田原野氏インタビュー」、「NAR(地方競馬全国協会)/ 野崎氏インタビュー」、「農研機構 動物衛生研究部門/新井氏インタビュー」、「サンアスタリスク/金子氏インタビュー」、「キリンビール/星氏インタビュー」、「前職ノエビア同僚インタビュー」「脳波計測機能付きのハイエンドヘッドホンアンケート調査」など
短い間が、濃度の高い勉強であった。

【終わりに】
今回のチームワークでは私はとても恵まれており、牧先生のM2ゼミ生二人と同じチームになった。そのおかげでグループワークの進め方や、授業内容の理解と実行などについて更に勉強できた。私たち三人とも理系出身だったため、シーズの技術面の理解は比較的スムーズだった。一方、一番苦労したのが仮説検証方法のところだった。「ビジネス・アイデア・テスト」と言う本を参考にし、仮設顧客インタビューや早稲田関係者アンケート以外にも関連商品製造企業インタビューやプロトタイプ商品体験、町ランダムアンケートなど様々な方法を思いついたが、時間と資金などの制限で実現できないところが多かった。しかし、様異なる分野の方とお話しできたことはとても面白くし、勉強にもなった。将来はこのような仕事もできればいいなと思っている。

 


次回の更新は10月8日(金)に行います。